《流山のおびしゃ行事(1)六所神社のおびしゃ》

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流山市では江戸時代から続く正月の伝統行事、「おびしゃ」が市内各所で現在でも行われています。
 

    「おびしゃ」は、千葉県北西部、埼玉県東部、茨城県南部を中心に分布する、その年の農作物の豊凶や家内安全を願う行事です。名前の由来である「おびしゃ」は「お奉射」「お歩射」とも言われ、弓矢で的を射ることからその名が言われています。

 

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今回、紹介する深井新田の「おびしゃ」は、弓矢で的を射ることをしない行事です。
 

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深井新田は、野田市と接する、市内最北西端に位置し、利根運河で地区が南北に2分されています。

    六所神社は、集落の北外れにあり、利根運河に船が往来していた時代には舟運業に従事していた世帯が多かったようです。そのためか、市内では珍しい船の形をしたお神輿(舟形神輿)があります。
    この地区のおびしゃは、かつては1月15日に行われていましたが、近年では成人式前日の日曜日に行われています。当日は、集落の氏子の皆さんが神社に集まり、神前にお酒やお米、野菜、果物などをお供えし、神官のもとの祝祝詞奏上、玉串奉奠などの儀式を厳かに執り行われました。例年であれば、祭礼の後後には直会が行われ、当番の引継ぎが行われるのですが、今年は新型コロナウィルス感染症拡大のため中止となってしまいました。

 

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神社の総代さんは、過疎化が進むし地域ではありますが、伝統行事を大切に守っていきたいとのお話をお聞きできました。あらためて、地域の文化財は、地域の皆さんが守り伝えていくものであると感じました。
 

流山市立博物館