『利根運河の植物で古代布を織り隊』は、利根運河に自生する野草(葛)を採取し、乾燥、煮沸などの工程を経て繊維にして、糸を紡ぎ、織物を共作するロングタームワークショップです。織った布は来年の七夕まつり機織り機で完成し、インスタレーション展示を行う予定です。
第1回は、葛を刈り取り、煮るという工程でした。午前の部5名、午後の部6名の参加者が集まりました。利根運河沿いには豊かな自然があり、たくさんの種類の植物の宝庫です。その中でも今回は葛をメインにし、自然の恵みをいただくべく出陣しました。
運河ではぐんぐん伸びた葛が私たちを迎えてくれました。
古代繊維愛好家の石栗さんのご指導のもと、一番質の良い繊維がとれる、太くて黒い新芽のツルを刈り取りました。ただ、今回は初めての試みということもあり、比較的細いツルや緑色のツルも刈り取り、どんな風に発酵するのか、どんな繊維がとれるのか、すべて実験してみることにしました。また、煮る前の処理も2パターンを試すことにしました。
その場で背丈くらいの長さに切り、ツルから葉っぱを取り除いたものを、①そのまま輪っか状に一まとめにしたものを煮る方法と、②ツルの芯から表皮を剥いで、表皮だけを一まとめにして煮る方法です。それぞれ煮る時間や繊維のとり出しやすさなどが異なるそうです。
刈り取った葛は予想以上の豊作で、鍋が溢れんばかりになりました。煮始めて5分ほどすると豆の香りがしてきます。マメ科の植物だけあって、塩を振って食べられそうな雰囲気を醸し出しています。見た目も黒色から鮮やかな黄緑色に変わりました。見事な色の変化に「ワカメみたいだね」との声もありました。煮上がった葛に水を加えて温度を下げ、煮汁ごとビニール袋に入れ発泡スチロールで保管します。もともと草が持っている枯草菌(こそうきん)がうまく働くことを願って、1週間発酵させます。
自然の植物をもらって行う活動には、長引く雨で新芽が腐ってしまったり、天気予報がはずれたりと自然との闘いがありますが、それもまた自然の中で生かされていることを思い知らされる良い経験です。今日も雲行きをみながらの刈り取りでしたが、開催中は雨に降られることもなく、無事に第1回を終わることができました。ありがとうございました。
第2回は、発酵した葛を利根運河の流水できれいに洗い流し、繊維をとります。天日に干して、シルクのような葛繊維に会えるのが楽しみです。
※今後日程を追加して実施していく予定です。また、途中参加も大歓迎です。詳しい情報は後日お知らせしますので、ご興味のある方、楽しみにしていて下さいね。
▶ 利根運河交流館